𓆸𓏸𓂂𓂂𓏸𓍯𓂂𓂂𓇬𓈒𓂂𓏸𓇠𓇬𓈒𓂂𓂂𓏸𓍯𓂂𓂂𓇬𓈒𓂂𓏸𓇠𓇬𓆸
03
--Smooth hydrangea-
思い出すための鍵を、あなたに
𓆸𓏸𓂂𓂂𓏸𓍯𓂂𓂂𓇬𓈒𓂂𓏸𓇠𓇬𓈒𓂂𓂂𓏸𓍯𓂂𓂂𓇬𓈒𓂂𓏸𓇠𓇬𓆸
「私らが言うことマジで信じてたの?」
「あんたみたいな地味女のこと、誰が本気で仲間にするかってーの!」
友人たちの下品な笑い声が、あたしの胸を蝕む。あたしはしばらくの間、目の前の光景を呆然と眺めることしかできなかった。
___あたしは、なんでも言い合える腐れ縁の花蓮と一緒に今の高校を志望し、無事入学した。しかし彼女とはクラスが離れてしまい、少しずつ話すことが減っていってしまった。そうしてひとりぼっちになったあたしは、テストで1位をとったことをきっかけに、クラスの中心にいるグループの子たちに話しかけられて仲良くなった。地味系なあたしは、彼女たちに合わせないとと思い、化粧をしたりスカートを折ったりした。あたしが変わる度にみんなが褒めて、可愛いと言ってくれたから、嬉しくて仕方がなかった。だからあたしは、いつものお礼も兼ねて、課題の答えを見せたり、代わりに発表資料を作ってあげたりもした。…あたしは、彼女たちとの友人関係を、言葉の数々を、信じきっていた。だけど今、用事を済ませて教室に戻ってきたあたしの目の前で、それらが嘘だったと告げられてしまった。震える身体に鞭打って、真実を確かめるべく口を開く。
「…じゃあ、あたしを可愛いって言ったのも」
「ウソに決まってんだろ?全部信じてたのヤバすぎん?疑うことも学んだほうがいいよ?」
心底楽しそうに嗤う彼女たちを見るのは、初めてだった。衝撃で息をするのもやっとなあたしに、彼女たちはさらに追い打ちをかけた。
「もしかしてうちらだけが嘘をついてたとか思ってる?…ねぇ真希。アンタもコイツのこと、嫌いって言ってたよね?」
真希は表情をこわばらせると、確かに頷いた。彼女は友人たち以外で仲良くなれた、たったひとりのクラスメイトだった。…あなたまで、そんなふうに思っていたなんて。どうやらあたしの周りには、嘘しかなかったらしい。あたしは考えるのをやめ、無表情のままその後の時間を過ごし、さっさと帰宅してベッドに横になった。溶けていく意識のなか、自分の周りの人々を、嘘で塗り固めた言葉を使う人ばかりのこの世界を、忌み嫌った。
🥀
妙な空気を感じて、目を開ける。視界にひとつの建物と大量のモヤが映って驚いたが、すぐに現実ではなさそうだと感じて息を吐いた。周囲を見る限り、どうやらこの建物に入る以外の選択肢はないようだ。
「はぁ……」
盛大なため息を吐きながら、建物まで歩く。ここに入ればこの変な夢から醒められるかな、と思いながら扉を開いた。
「わっ、びっくりした」
「え、ご、ごめんなさい」
誰もいないと思っていた建物のなかには花を手に持った女性がいて、あたしは謝りながら素早く扉を閉めた。…現実ではないとしてもなんだか気まずかった。
「じゃ、じゃあモヤの先に進むのが正解なのかな」
そうつぶやいて歩き出した瞬間、扉から女性が顔を出した。
「お客様なんだから、入って構わないんだよ」
「え、客…?」
彼女は戸惑うあたしの手を取ると、エスコートするように建物のなかへと招き入れた。改めて室内を見てみると、多種多様な花たちが綺麗に並べられていた。
「これをどうぞ」
「あ、どうも…」
女性はあたしに花を握らせると、そのままあたしの手を包み込んだ。
「…世界にはね、あなたの友人たちみたいに嘘を言って騙して、それを楽しんだり嗤ったりする人はいる。だから、彼女の言う通り、多少は疑うことも大事。言い方はひどすぎるけどね。…でも、嘘偽りない言葉をくれる人だって、ちゃんといるんだよ」
「嘘偽りない、言葉…」
「そう。あなたにもそんな存在がいるはずだよ」
思ってもいないのに可愛いと言ったり、嫌いなのを隠して仲良いフリをしたりしない、存在?
「そんな、人なんて」
「なんでも言い合って、素直に話し合える存在なんていないって、本当にそう思う?」
「…はい」
女性はうーんと唸ると、あたしの手を離した。
「あなたは今、遠くを見てしまっているから、もっと近くを見てみて。そうすれば、思い出せるはず」
え、と聞き返そうとして視線を女性に向けた途端、ものすごい勢いでモヤがあたしに迫ってきて、ぐっと目を閉じた。
🥀
携帯のアラームの音で、目を覚ます。アラームを消そうと携帯のほうに目を向けると、そこにはあの女性からもらった花があった。
「え…あれって、現実…なの?」
花をじっと見つめながら思考をぐるぐると回していると、ふと女性の言葉を思い出した。
「近くを、見る…」
どういう意味なのだろうと疑問に思ったそのとき、あたしの携帯から通知音がした。画面を見ると、そこには「花蓮」という名前と、あたしを心配する言葉の数々が表示されていた。
「……もしかして」
言葉の意味が分かった気がして花に目を向けると、まるで正解、とでも言うかのように、花びらが小さく揺れていた。
𓆸𓏸𓂂𓂂𓏸𓍯𓂂𓂂𓇬𓈒𓂂𓏸𓇠𓇬𓈒𓂂𓂂𓏸𓍯𓂂𓂂𓇬𓈒𓂂𓏸𓇠𓇬𓆸
とある惑星の方角から
頭上を通過するほうき星が
悪戯好きの子供のように
僕の背中をそっと撫でたよ
行きたいんだ 行けないんだ
見てるだけじゃ足りないよ
争いや 嘘もないらしい
君に会いたいよ
まるで宝石のように美しくて
神様が宇宙に落っことした
僕らが欲しかったものは
その地球ほしにあるよね?
𓆸𓏸𓂂𓂂𓏸𓍯𓂂𓂂𓇬𓈒𓂂𓏸𓇠𓇬𓈒𓂂𓂂𓏸𓍯𓂂𓂂𓇬𓈒𓂂𓏸𓇠𓇬𓆸
💚アナベル cv.鉄火
https://nana-music.com/users/889046
伴奏︰くーりん様
イラスト︰ゆん様
SS︰琉伊
𓆸𓏸𓂂𓂂𓏸𓍯𓂂𓂂𓇬𓈒𓂂𓏸𓇠𓇬𓈒𓂂𓂂𓏸𓍯𓂂𓂂𓇬𓈒𓂂𓏸𓇠𓇬𓆸
#星の唄 #buzzG #アコギ #Reverie #バラ #紫陽花 #かすみ草 #ミモザ #スターチス #千日紅 #アナベル #ミナヅキ #ヘリクリサム #ブラックベリー
コメント
まだコメントがありません