-偽夏の瓶詰め-

貴方

もう帰ろう 秘密なんてどこにもない 白い家 甘い匂い 遠い小船… …………………………………………… 至らずの眠りに水を注いで、 名前も知らない花になろうとした。 窓に腰掛けて光の混じる黒髪を、 風の櫛で梳かして煌めく砂粒を落としてた。 寝具からは満潮の香りが、 積み上げた小説には見慣れない題名が記されていた。 ｢海渡りは簡単なもんじゃない。夜は星屑を拾って食べなければならんし、朝になれば独りにならなくちゃだめだ。濁らずに、純粋でなければ夏には帰れん｣ 紙片に綴られた文字の群れが、 偽物の夏を伝えてきた。 ｢往くよ。僕には海が必要だ。ちっとも大きくなれなかった、青い心と渡りにいくよ｣ 裸足で今すぐ駆け出して、 波打ち際で瓶に詰めた。 曲がりくねる白い泡が揺らめいて、 綺麗な貝殻をさらっていった。 水平線に残る影はなく、 朝の残りが踵を濡らした。 ────アドリブ＆性別変更大歓迎───── ちょこれーとは零 ぎかのびんづめ 前の台本⤵︎ ⤵︎ 次の台本⤵︎ ⤵︎ unknown #コラボ募集 #朗読者募集 #オリジナル #拍手返します #朗読 #台本 #無力な僕 #BGM #声劇台本 #みわたか