ショート･フィルム「交然の秘密」

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『深緑の』 四人用/声劇 注意事項 ・自作発言･キャプションコピー禁止 ・本サウンドは性別変更を禁じます ・楽しんでお読みください ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ [日盛り、立派な門構えの家の前に男が1人いる] ◁：「先生ご在宅ですか──あぁ、どうも」 [回想] ▲：『太陽はまだ高く。陽は南から降り注いでいる。』 [書斎、2人の男女が言葉を交わす] ▽：「次の座談会は」 ▲：「20日の14時に、ミノウ先生のところのトキワさんと」 ▽：「あぁ。なら原稿をお願いするよ、コトヒキ先生」 ▲：「無論です、コトヒキ先生」 [宗像邸にて] ▲：「書斎……そんなに気になりますか」 ◁：「おあ、失礼しました。悪癖が出てしまった」 [休日の朝、往来から少し外れた茶店] ▽：「手紙での印象と変わらず、素敵なお嬢さんだ」 ▶：「まさか本当にお会いできるなんて、光栄です」 [熱帯夜] ▽：「酷いと言ってくれていいから」 ▶：「ああ、本当、そうね」 ◁：「…Je bent lief(ユ ベント リーフ)」 ▲：「──口が虚しいことを言う」 [文筆家が初稿の推敲をしている。脳裏で様々な言葉が思い返されている] ▲：『僕はいつだって清廉だった。』 　　▶：「ひどい人です、貴女も」 ▲：『それがタダ一つ僕たらしめた言葉だった。』 　　▽：「物語は私が決めるものではありませんから」 ▲：『どうぞそれを信じたままでいて。』 　　◁：「負い目も、真実も、書くのが役目でしょうに」 ▲：「『要はすべて《嘘》なのだから。』」 [文筆家は薄く微笑んだ。] ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ それだけ書くと、あの人はぱたんと本を閉じる。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ▲：文筆家･水無瀬 郁子 （みなせ いくこ） 二十代半ば。結婚している。「殊曳カヲル」という筆名で物書きをしている。行き場のない生きづらさを抱えている。 ▽：教授･宗像 晋太郎（むなかた しんたろう） 三十代後半。結婚している。帝国大学にて教鞭をとると同時に、表舞台の「殊曳カヲル」を引き受けている。 ▶：学生･高橋 ユヱ（たかはし ゆえ） 十代後半。大人しい文学少女といった佇まい。「殊曳カヲル」の非常に熱心な読者。 ◁：記者･堤 風悟（つつみ ふうご） 三十代前半。海外新聞社の特派員。故郷から離れたこの地と人々をいたく気に入っている。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 音響 DOVA-SYNDOROME 『流星群』written byのる 『クレショフの憂鬱』written by KK 無料効果音で遊ぼう！ VSQ+ 編集：佳史堂 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ [遺品整理、大量の手紙が見つかる。] 拜復 お手紙拜見させていただきました。 Maastrichtは長く嚴しい冬を越して穩やかな日が續いています。街に大きな木があつてそれが枝垂れるのですが、これがまた隱れ處に丁度よいのです。最近はそこで小さな先生たちに言葉を敎えてもらつています。 特に用も無ければこうして便りを寄越さない貴方が、わざわざ寄越すのですから大事だつたのでせう。私が戾るにはきつと十數年掛かります、由枝先生には一言、お目出度うございますとお傳え下さい。 皆樣のご健勝を他鄕よりお祈り申しあげております。 敬具 #451Sの書架 #声劇 #台本 #声劇台本